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silentdogの 詩と昼寝

詩をおいてるばしょ。更新はきまぐれ。

ナビゲーション

“山猫”を訪ねたが、今日は閉まっていた うまいものが食べたいという思いが強すぎて 自分の道が狭まっている そう感じることが多くなった なんでもいい 腹を満たせれば そういう態度で昼も夜も生きれたら わたしの道は この町を包み込むほどに広がるだろうと…

15時

クズとカスのどっちが上か、という話を ベランダで話していた クズっていうと、たとえば野菜くず、とか言うじゃない まだ何か使えそうな気配がある まだそれそのものの魂を失ってない感じするけど カスだと、必要なものをしぼりとった後っていうか なんかも…

7時25分

むらさきの花は六月、と母に教えられた 灰色の空 雨と あざやかな紫は わたしの六月のすべて

you

「われわれには水風呂はよくないのかもしれぬ」 「月曜日に入った水風呂のせいか 土曜になっても調子が悪いのだ まったくこいつらときたら正直すぎるよ おれは水風呂がすきなのに」 夫は免疫異常の病持ちで 自分の細胞と自分が切り離された暮らしをしている …

午後

ピンク色のボウルの中に 小さな海をつくらねばならない 塩を溶かして、少しなめてみる 海の味はどんなだったか わすれてしまった 壷に匙をさしたままの 数秒間

19時57分

不在のあいだに 外出禁止令が出ていた どこの店へいっても 客がいない 音楽もならない店内 電話の音がなりひびくと 空のコップがすこしふるえた

20時

なつの夜 南島にたどりつくはずの アオバズクの声がした とりも方向音痴なのがいるのだ 酒がはいって なにごとも愉快におもえた

5時4分

早起きが苦手なのに 五時に目が覚めた 開けた窓から見える 背の高い樹の どこかの枝に カッコウがとまっている つめたい空気の中をよくとおる声に 何人が目を覚ましただろう わたしと、 だれと、だれが

12時20分

ゆっくりとした料理を つくろう、と思った フライパンも鍋も こがしつくし 薬品を買いにいくために 履き慣れた靴に足をいれた その瞬間に

13時15分

歩いているうちに 整えたはずの髪も少しずつくずれる 疲れたように見える風体 そのまま 雑貨店に入って いくら探しても見つけられないものが あるということを 思い知らされる わたしは創造できない かげろうの沸騰する路上に 汗が落ちる

6時32分

鯛にはまぶたがないから 目をとじない 見ることが生きのびることに強く繋がっている わたしは目をとじる このまぶたは、選んでいる 見たくないもの まぶしいこと 入ったら痛いもの 見えない瞬間があってもいいわたしは いのちから、ほんのすこし自由なのか

16時2分

船の持ち主から 大きな鯛をもらったのは いつのことだったか 忘れてしまうほど時間がたったのに 冷凍室にいれたままだった 早朝から ま水につけて 充分にやわらかくなったけれど 鯛の口は固くとざされて 何か強く主張しているかのよう いのちがぬけでても 激…

9時ちょうど

人狼が出た、と昨夜おそくから騒いでいて まだ血がさわいでいる 外に出ないように、と言われたけれど いざ外に出れば、商店は開いてるし 役所の窓口も普通に開いてる 危機感がないのはわたしも同じ 絶対安全地域にひきこもるより 死ぬ直前まで生きていたい

18時頃

スイッチを入れようとして そういえば暖房はないのだった 何度繰り返しても 小さな習慣はやめられないものだ 冷たい風を わたしはまだ南風と呼んでしまう いい風だ いい温度だ

12時40分

梁の数を数えてる 一本、二本、 何本あったら簡易ではないと言ってもらえるんだろう なりたての大工と あまったマッチでパズルを組んでる 旧来 わたしたちは犬猿の仲だったのに こんな風に構造のことを話しているなんて 時代のせいなんだろうか

9時少し前

失敗をして 人生が終わった、なんて 考えることの馬鹿馬鹿しさを とつとつと語る 先生、 言葉よりもその 背中の方が雄弁な あなたの失敗はなに

17時30分

そよ風が 完治しない、ひどいドライアイにしみて 目を細める ほそながい視界が ほんのりと色づいている

14時

一度をなくした彩度を 徐々にとりもどしてゆく色鉛筆を 眺めているだけ 過ぎてゆく時間は まったく惜しくない