冬の音楽会
寒空の下
湯気をたてて濾過される
わたしたちの音楽
しとしとと
結露し、したたり落ちて
ある日
白い器のような舞台に
たっぷりと注がれて
ひとつの楽団の中で波うつ
終演とともに楽団員は
拡散しながら消えてしまい
わたしたちは音楽をうちに秘めていることを
忘れてしまうのだが
しとしと
再び来年の冬までの
長い抽出の音がしはじめる
***
この頃は趣味の笛に熱中しています。
一緒に演奏をしているグループの人たちは年齢も職業も様々です。年齢の差自体は気にはなりませんが、あの人はきっと私よりも早く演奏しなくなるだろう、と感じることも増えてきました。今のところ私が一番若いメンバーなので、可能性だけで言えば、私が最期に残ってしまうのだろうと。今があまりに楽しいので、起こってもいない喪失が非常に悲しい。みんなできるかぎり元気でいてほしい、と思います。