一年のうちのまばらな休日を夏にかきあつめて
伯父たちは父の家にあつまる
夕暮れどき、さりさりが鳴りやまない部屋で
大きな袋を人数分ならべ
竿と糸と針、息をする餌、懐中電灯
かびの生えた軍手と蛾のような浮子
夜に噛むためのするめや酒など
それぞれに入れながら
今日の位置をはなしあう
気が済むまで話し合ったあと
かれらが家をでていく
そのうしろ姿をだまって見送る
道具のこすれる音が遠のいてゆく
その先にある夜の海の光
幾年へてもわたしは
ついて行けない
ドアがバタンと閉められると
もうそれだけで
よづりの愉しみから閉め出されてしまう