silentdogの 詩と昼寝

詩をおいてるばしょ。更新はきまぐれ。

天狼のある部屋


あおじろくもゆる焔は

人々がそれを幾千度、と話すとき

あのあおざめたくちびるの温度と、どのあたりで平衡するだろう

 

ふるい冷蔵庫がごくりとのどをならしている

 

これほどまでに冷えた部屋は星のよう

拡散しない冷たさは、硬いと言っていい

温度計を手に鉄塔の上から透視すれば

今日この町は星図のようだろう

 

なかでもひときわ輝くのは

天狼のページが開かれている、この部屋に違いない

37度近い体温のわたしの末端がもえるように冷えている

 

乾く喉のために水をくむ

このぬるさは闇でも光でもない

広大な真空そのものの感触

 

 

ときどき、自分の好きな詩を読み返します。

「天狼」は本当に美しい詩だと思います。今月、鈴木漠さんの詩集をあらためて読み返していたのですが、新しく発見することや、初めて理解できたこともありました。ずいぶん前に古本屋で買った連句集も、ようやく読みたいと思うようになりました。

歳をとったせいなのかな、と考えています。