silentdogの 詩と昼寝

詩をおいてるばしょ。更新はきまぐれ。

まちとはいえない

 

 

町とはいえない
とかれらが言った
そうか、町ではなかったのか

 

家とはいえない
とかれらが言った
そうか、家ではないのか

 

ひととは思えない
とかれらが言った
そうか、ひとではなかったのか

 

そこで生まれ、そこで育ち、そこで愛されたわたしは
違うことばの中に生きているのか
わたしの傷は
傷ではないのだ
だとしても
深く痛む

 

本とは呼べない
誰かが捨てた紙束を
わずかにつなぐ綴り糸がゆるい
一枚一枚めくっては
わたしとは違う言葉に
傷ついては泣く午後