2014-10-02 冬 星をふむ日 レテ’リーリでは雪の代わりに 数字が降ってくる しろい つめたい冬の路地で 数学者たちが 昆虫採集のように掬い集める 新しい条例が公布されると ひとりびとりの市民に またひとつ 代数が追加される くるしみは 理想のなかにさえもありつづけるもの 木枯らしのように子どもたちの 答えのない質問と 果たされない盟約を交わす声が 通り抜けてゆく ああ 明日にも 身動きのできない記号が浮遊したままふるえる冬が やってくるだろう