silentdogの 詩と昼寝

詩をおいてるばしょ。更新はきまぐれ。

菌類の先端

 


わたしにも速度がある
誰にでもあるというからには
あるに違いない


とても遅い


祖母たちの
三度目の転生にすら
追い抜かれる


巨樹のさかえた森の
最後のらく葉の日にすらも
間に合わない


かぎりなく静止に近いとも言える
わずかに動的であるとも
だがたしかに
わたしにもある


そうに違いない
手を伸ばすしぐさの終点
遠い未来にその先端が
いちどきに歓声をあげながら
増殖する夢を
毎夜みている