silentdogの 詩と昼寝

詩をおいてるばしょ。更新はきまぐれ。

13時15分

 

歩いているうちに

整えたはずの髪も少しずつくずれる

疲れたように見える風体

そのまま

雑貨店に入って

いくら探しても見つけられないものが

あるということを

思い知らされる

 

わたしは創造できない

かげろうの沸騰する路上に

汗が落ちる

 

 

6時32分


鯛にはまぶたがないから

目をとじない

 

見ることが生きのびることに強く繋がっている

 

わたしは目をとじる

このまぶたは、選んでいる

見たくないもの

まぶしいこと

入ったら痛いもの

 

見えない瞬間があってもいいわたしは

いのちから、ほんのすこし自由なのか

16時2分

 


船の持ち主から

大きな鯛をもらったのは

いつのことだったか

忘れてしまうほど時間がたったのに

冷凍室にいれたままだった

 

早朝から

ま水につけて

充分にやわらかくなったけれど

鯛の口は固くとざされて

何か強く主張しているかのよう

 

いのちがぬけでても

激しくつらぬかねばならぬこと

ないな、いまのところ

 

 

 

9時ちょうど

 


人狼が出た、と昨夜おそくから騒いでいて

まだ血がさわいでいる

外に出ないように、と言われたけれど

いざ外に出れば、商店は開いてるし

役所の窓口も普通に開いてる

危機感がないのはわたしも同じ

絶対安全地域にひきこもるより

死ぬ直前まで生きていたい

 

 

18時頃


スイッチを入れようとして

そういえば暖房はないのだった

 

何度繰り返しても

小さな習慣はやめられないものだ

冷たい風を

わたしはまだ南風と呼んでしまう

いい風だ

いい温度だ