silentdogの 詩と昼寝

詩をおいてるばしょ。更新はきまぐれ。

ここで、さよならだ


わたしは常にわたしから脱出するというひとつの運動だともいえる


海峡をこえる
国境をこえる
境とよべるかぎりのものをひたすらにこえる
着脱式のものはすべて置き去りにする
名前さえも


成形の途上の
あたらしさが次から次に
湧きあがるからだ
脱ぎすてる
ふりほどく
終了したものたちはわたしを名乗るな


わたしは増殖するぬけがら
置き去りにした名前を
おもうたびかなしい
どうか
おだやかな故郷のように
眠っていろ


この
しずかな別れ
あたらしさに引き裂かれる
わたしはこうして
わたってゆく