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silentdogの 詩と昼寝

詩をおいてるばしょ。更新はきまぐれ。

よづりの愉しみ

わたしの好きな時間といったら16:45からはじまる15分間だ みんなが仕事を終えてそれぞれの車で夕陽にきらきらする港へ向かうのを見送るとき 事務所の涼しい陰で斉藤さんたちとお菓子をつまみながら課長が工場の戸締まりを全部終えて帰ってくるのをまつとき …

夜の魚

静かにひきあげると 朽ちた水底の匂いがした 完全武装をしているのに 武器の先端でおきていることの味を 嘗めたことがない わたしの仕掛けた罠のまわりに なまぐさい喧嘩がおきて そうして最後にはばをきかせたのが今 クールボックスの 暗い水の中にいる も…

まちとはいえない

町とはいえないとかれらが言ったそうか、町ではなかったのか 家とはいえないとかれらが言ったそうか、家ではないのか ひととは思えないとかれらが言ったそうか、ひとではなかったのか そこで生まれ、そこで育ち、そこで愛されたわたしは違うことばの中に生き…

みおくり

一年のうちのまばらな休日を夏にかきあつめて伯父たちは父の家にあつまる 夕暮れどき、さりさりが鳴りやまない部屋で大きな袋を人数分ならべ竿と糸と針、息をする餌、懐中電灯 かびの生えた軍手と蛾のような浮子夜に噛むためのするめや酒などそれぞれに入れ…

クレソンの 深く広く 青い繁栄 その夜を 蛍は飛び交うのだった 甘い葉を噛み すずしい陰をもち 星の息をすすり 冷たくひかる そして クレソンの闇は ほのかにてらされるのだった

ちいさな事件

今朝ここで 何が起きたのか もうわからない 音のない午後に 乾いてゆくその跡が 黒くなっていく そしてゆうやみに ならされて 焚かれる香に あみこまれて 生々しいものはもう どこにも。 たとえば その衝撃が 誰かの記憶にとどまりますように どこかにひっそ…