silentdogの 詩と昼寝

詩をおいてるばしょ。更新はきまぐれ。

you

 

「われわれには水風呂はよくないのかもしれぬ」

 

「月曜日に入った水風呂のせいか

 土曜になっても調子が悪いのだ

 まったくこいつらときたら正直すぎるよ

 おれは水風呂がすきなのに」

 

夫は免疫異常の病持ちで

自分の細胞と自分が切り離された暮らしをしている

だから時々、一人称がわれわれになる

 

「われわれ、っていうけど、あなた自身のことでしょ」

「そうそう。おれは集合体なの。」

 

わたしは一人の男と結婚したつもりだったが

いまはとある細胞の一団と暮らしている

 

 

 

1時(深夜)

 


貝のはく泡が

わたしのせまい部屋の中に

はじける

 

息がにじみあう

 

同じ塵の中に漂う粒子である

わたしたちは

食べ食べられながらともに

どこへいくのだろう

 

ぷち、ぷち、

ぷち

 

静かな夜

 

 

 

午後


ピンク色のボウルの中に

小さな海をつくらねばならない

 

塩を溶かして、少しなめてみる

海の味はどんなだったか

わすれてしまった

 

壷に匙をさしたままの

数秒間

 

 

 

19時57分

 

不在のあいだに

外出禁止令が出ていた

どこの店へいっても

客がいない

音楽もならない店内

電話の音がなりひびくと

空のコップがすこしふるえた

 

 

 

20時

 

なつの夜

南島にたどりつくはずの

アオバズクの声がした

 

とりも方向音痴なのがいるのだ

酒がはいって

なにごとも愉快におもえた

 

 

5時4分

 

 

早起きが苦手なのに

五時に目が覚めた

 

開けた窓から見える

背の高い樹の

どこかの枝に

カッコウがとまっている

つめたい空気の中をよくとおる声に

何人が目を覚ましただろう

わたしと、

だれと、だれが

 

 

12時20分

 

ゆっくりとした料理を

つくろう、と思った

 

フライパンも鍋も

こがしつくし

薬品を買いにいくために

履き慣れた靴に足をいれた

その瞬間に